【好かれるワインのお作法】オススメワイン教えてくださいの上手な対処法

9.ワインの雑学

こんにちは、ワインなし生活2週間目の旅ガラスです。
コロナ禍に関係なく東南アジアに出張中、海の上におりまして手に入れる手段がありません。

海王様、おらワインが飲みてぇぞ。海王様頼むぞぉ

某格闘漫画で唯一ワインを出してくれそうな地球の神様より偉い人にひっそりお願いしておきます。

さて、今回の議題は
「美味しいオススメワイン教えてください!」
の上手な対処法についてです。

ワインに詳しい人はよく聞かれる質問&頼られてるのもあって嬉しい質問ではあると思いますが、皆さんどんな風にお答えしてますか?

「マルゴーのシャトー○○がオススメだよ」
「コノスルの○○とかお手頃だし一度飲んでみるとよいよ」

こんな感じで自分の好みか有名どころの無難なチョイスで返事をすることが多いのではないでしょうか?

それ、勿体ないです!

「美味しいオススメワイン教えてください!」と言われると、ついつい自分の話したい事ばかり話しがちですし、実際それで会話が盛り上がることもあります。

ですが、「この人ワイン好きなんだなぁ」で終わってしまいます。
本記事では豊富なワインの知識を使って、「この人感じの良いなぁ/頼りになるなぁ」と思われる上手な受け答えを説明いたします。

それが大人の嗜み!せっかくのボーナスクエスチョンをしっかり生かして好かれちゃいましょう。

「美味しいオススメワイン教えてください!」の意味

まず質問者の気持ちを理解していきましょう。
通常「あなたがワインを詳しいから教えて欲しい」というのが話の流れですが、根本にあるのはだいたい以下の4つです。

  1. (色々なワインを飲んでみたい)
  2. (ワインの選び方がよくわからない)
  3. (ワインに詳しくなりたい)
  4. (話の流れで聞いてみただけw)

こんな気持ちで聞いてくる人が9割です。(相手はワインに詳しくない、という前提)

勿論本格的に勉強したい人もいるのですが、そういう人は「○○のワインでオススメってありますか?」みたいな具体的な質問をしてきますので、今回は除外します。

この質問に素直に答えるなら

「フランスのシャブリ地方に○○っていう小さなワイナリーがあるんだけど、そこの○○はすっごくおいしいよ!こんなに美味しいワインがあるんだって本当に感動したね。すっごく飲みやすいし、適度なレモン系な酸味とパイナップルの芳醇な香りがたまらなくて、後味はキュッと切味も良い。でも口の中には余韻が残ってしばらく楽しめるんだ」

みたいな、ガンガンPR系。これはあまりオススメしません。なぜなら

  • 相手が好みかわからない。(もしかしたら赤ワインが好きかもしれない)
  • 美味しそうだけど高そう(ここで今度ごちそうしてあげる、という甲斐性のある人は問題なし)
  • どこに売ってるの(コンビニでは売ってないよね)

となるので、相手が後日買ってみた/飲んでみたという可能性は非常に低いです。つまり話を聞かされただけで、役立つ情報でもなんでもないのです。

なのでこの質問に答える前にやることは、相手がどんなワインの情報を欲しいのかヒアリングする必要があります。

ヒアリングは何を聞けばいい?

相手の好みとワインにかけれる値段を聞きましょう。

具体的には酒屋の店員さんの受け答えを真似てアレンジすることをオススメします。

居酒屋の店員さんは自分の好みを教えてあげるだけでよかったりしますが、酒屋さんの場合は数あるオススメのなかでどんなワインを相手が求めてるか観察するプロです。
数多くのワインを試飲していますし、ワインを探してあげた経験も数知れずです。

ざっくりこんな流れで聞かれる事が多いなぁーっていうのを以下まとめてみました

  1. 予算確認
    「予算はいくらぐらいでお探しですか?」
  2. 好み確認
    「普段どんなワイン飲まれる事多いですか?」
  3. 提案前の確認
    「じゃあシャブリって飲んだことありますか?」
  4. 提案
    「シャブリは辛口の白ワインが有名で~~。お客様がきっと好きだと思いますよ」
  5. クロージング
    「こちらは私のイチオシですね。ちょっとお値段高くなりますが、お金払う価値があるともいます。こっちはリーズナブルに飲めるので売れてます」

こんな感じでヒアリング、オススメを紹介してあげられるとスマートですし、飲んでみたくなるもの。こういう紹介ができると

「ワイン詳しいだけじゃなくて、ワインを楽しく飲ませてくれる人」

という風に格上げされますし、ワインに関して頼れる人になれます。

「美味しいオススメワイン教えてください!」の切り替えし例

具体的な会話はどんな感じになるの?という人にむけて、旅ガラスならこんな風に会話するよーという例を出しておきます。

ヒアリングの入り口

美味しいオススメワイン教えてください!

旅ガラス
旅ガラス

一杯あるから困っちゃうな。ちなみに○○さんはどんなワインが好きとかあるの?

という風に聞き返してあげましょう。するとザックリ2通りの返事に分かれるので以下解説していきます。

ケース1 ある程度方向性が決まってる系

「辛口がいい」
「スペインワインが好き」
「舌が子供だから甘めの白ワインが好き」
などなど、具体的な好みを持っている人は、そこを深堀していきましょう。

例えば

「辛口がいい」
→フルーティーでサッパリするタイプ?それともコクがあって適度な苦みや渋みがあるタイプ?
「スペインワインが好き」
→赤と白だとどっち飲むの?濃厚なのとあっさり系だとどっちが好き?
「舌が子供だから甘めの白ワインが好き」
→甘くて濃いのが好き?それともフルーティーでスイスイ飲めるタイプが好き?

みたいな感じです。
こうやって絞っていくと、相手の好みの輪郭が見えていきますので、それに合わせて品種やら自分が飲んで美味しかったワインを勧めてあげると喜びます。

補足ですが、相手の好みがわかったら価格帯毎に数本紹介してあげられると満足度があがります。

「○○と××が良いと思うよ。××は安くて手軽に買えるから、好きなタイプのワインか気軽に試してみてね」

と終わらせるとスマートです。

ケース2 新しい情報が知りたいor好みが定まってない系

「なんでも飲むよ」
「うーん美味しいのが良い」
「すっごく渋くなければ大丈夫」
などなど、基本何をオススメしても良いタイプもいます。

この場合、自分の好きなワインを聞かせて想像を高めてもらうといいです。

「そうだなぁ、例えばこの前飲んだニュージーランドワインはおいしかったな。濃―いパッションフルーツの香りでフルーティー、後味がすっきりドライだったんだ。真夏にキンキンに冷やしたら最高だと思う。そういうワインは好き?」

という感じでアプローチするとよいです。幾つかキーワードがあって

・ニュージーランドワイン
→まだまだ知名度が低めなので、知ってると言われにくい
・濃いパッションフルーツ
→酸っぱいのが好きかどうかわかります。
・真夏にキンキンに冷やしたら最高
→これ、だいたいの人が好きですw

こうやって相手の好みを把握しつつ&無難なワインに誘導していくのが一つの方法です。

ちなみに答えはマルボロのソーヴィニヨンブラン、飲んだことない人にはインパクトがあるのでオススメしやすいです。

雄猫のおしっことか、草っぽい香りという言葉は敢えて伏せてますが、上手に説明できるなら言ってもOKです。

他で使えるエリア&ワインとしては

・バロッサシラーズ
→ステーキとの相性抜群なんだ(お肉好きな人)
・アルザスリースリング
→真夏のレモン水みたいにスイスイ飲めちゃうワイン(さっぱりしたものが好きな人)
・リオハのテンプラニーリョ
→スモーキーでスパイシー、ハマる人はすごくハマる(赤ワイン好きな人)
・ナパのシャルドネ
→高級ホテルの朝食、バタートーストの香り(甘い香りが好きな人)

みたいな感じで準備しておくといいです(思いつきなので精度低めですが赦してください)

ポイントは、イエスが取りやすい&イメージしやすいような言葉遣いをすることです。なんでも飲む系の人からはポジティブな反応が取りやすいです。

「じゃあマルボロのソーヴィニヨンブランは○○さん気に入ると思いますよ!特にこのブランドは日本でも手に入りやすいので、今度試してみてください」

という感じで、最後に具体的なブランドを幾つか挙げて終わらせるとやはりスマートです。

※好きじゃない、と言われた場合

実はソーヴィニヨンブランは苦手で。。

旅ガラス
旅ガラス

なるほどー○○さんはそっち系苦手かぁ。じゃあやっぱりもう少し濃厚でお肉に合いそうなワインとかは好き?

みたいヒアリングしていくと相手の好みのワインにたどり着けます。(ケース1に戻るイメージです)

ヒアリングフレーズとしては、以下みたいな2者択一がオススメです

「赤と白だとどっちがすき?」
「辛口派と甘口派だとどっち派?」
「フルーティー系?それともスパイシー系?」
「あっさりしたのがいい?それともずっしりしたのがいい?」
「すいすい飲めるタイプとちびちび味わって飲むタイプだとどっちが好き?」

稀にどっちも好き、という人のですが、その場合はどちらかをこちらが決めてあげればOKです。
「じゃあひとまず赤ワインだとして、辛口と甘口ならどっち?」みたいな感じです。

また、どんなワイン好きかよくわかってないと言われたら「苦手なワインや食べ物はあったりするの?」と聞くと出てきたりします。

そうやって一つずつ謎解きのようにヒアリングしていきましょう。

ヒアリングの効果

一番の効果は、相手がそのワインを飲む確率が上がります。

「それだけ勧めるなら飲んでみよっか」というやつです。

また、一方的に話を聞くよりも記憶に残りやすいですし、「ワイン選びならこの人が頼りになる」と覚えてもらえます。

その上
もし相手がオススメしたワインを飲んでくれて、好みにヒットしたらワインをより好きになってくれますし、もっと詳しく知りたいと思って頼られるのはあなたです。

そしたらその道の先輩であるあなたは尊敬もされますし、好かれますし、最終的にはモテます。これがいわゆる専門家がモテる理由だなぁと思うのです。単純に知識があるだけじゃインターネットと一緒です(笑)

ということで、面倒な気持ちもあるとは思うのですが、じっくりヒアリングして「相手にとってのおいしいオススメワイン」を探してあげましょう。

ヒアリングはプロほどやらない

高いワインを扱うソムリエさんほヒアリングはやりません。

だからあなたが懇切丁寧にヒアリングしてあげると効果抜群です

ちなみにソムリエさんは出来ないわけじゃなく、やりたくないのです。以下理由を解説します。

お客様の希望

お客様はお任せを期待しますし、美味しいものが出てくるのが当たり前と思うからです。

寿司職人に今日のオススメは?と聞いたら具体的かつイチオシを教えてくれるのと一緒です。何系が好きなの?と聞く職人を見たことはありません。

ヒアリングするより簡単だから

ソムリエさんは飲むワインをより美味しくするための説明や演出をしてくれます。が、決してボランティアではありません。

時間の兼ね合い、高いワインに誘導したい思惑、お客様の好みに合わなかった場合の懸念など

相手の好みを聞くより、自分の都合でオススメする方が簡単なのです。

「ステーキにはアルゼンチンのスパイシーなマルベックが良く合うんですよ」
→感想:確かにこの食事とならこのワインかな

「チーズは多少油っこいので、酸味の強いリースリングが相性よいです」
→感想:確かにさっぱりするし、相性良い

でもここでお客様にヒアリングした結果「シャルドネが飲みたい」、「酸味が少ないワインがいい」と言われると非常に面倒臭いのです。もちろんソムリエの見せ場でもあるのですが、時々無理難題が飛んできます。

ステーキなんだから普通に赤頼めよ!とか、酸味少ないとチーズが重くなるだろ!とか、内心ソムリエは憤激するのです。そしてどうしよう、と悩みます(ある意味やりがいではありますがw)

こういう風に枷を掛けられると、知識のあるソムリエでも選択が難しいです。

なので、特にマリアージュを意識してる高級レストランなどではワインのヒアリングをしたくないというのが本音です。

まとめ 「美味しいオススメワイン教えてください!」はボーナス

ぶっちゃけ、美味しいワインなんて沢山あります。

適当にワイン数本買えば1本くらいは当たるはず。そしてお店で飲む場合は、店員さんがおいしいと言えばなんとなく美味しい気がしてきます(笑)

なんですが、やっぱりみんな失敗したくないのです。
だからこそ、ヒアリングしてあげたワインには普通にオススメした何倍も価値が出ます。

まさに海王挙←ここに繋がります(笑)

ということで、ぜひぜひワインをオススメするときは相手の立場になってワインをオススメしてあげましょう。

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