「セイヴォリーなワインってどんなワイン?」
これ、ちゃんと答えられる人は意外と少ないのではないでしょうか。旅ガラスも概念を理解するのにてこずったのを覚えています。
ちなみに2018年度の日本ソムリエ協会教本には載っていませんでした。海外だと良く使う言葉なので不思議だなぁと思います。
この表現を覚えておくと、海外でワインテイスティングした時に非常に重宝します。ぜひぜひ習得しましょう。
英和辞書で調べてみる
Savory(セイヴォリー)の意味
- ハーブの名前(セイボリー)
- 香ばしい
- 不味い
- きだちはっか(summer savory)
ここから推測すると、セイヴォリーなワインとは
- ハーブだからほんのり苦みがあって独特の香り?
- 香ばしい、何かを焼いた良い匂い?
- 不味いって悪い言葉?
- はっか?
となるのですが、どれも違います。もしかしたらセイヴォリー特有の香りから来てる可能性もあると思いクンクンしてみたのですが全然違います。
「香ばしい」は完全な間違いとは言い切れませんが、勘違いを生みそうなので違うと思っておいてください。
セイヴォリーなワインって?
「セイヴォリーとはフルーティーでないこと」
全てのワインはフルーティーかセイヴォリーのワイン、どちらかに入ります。
具体的にはざっくり以下の通りになります。
青果実系(りんご、なし)、柑橘系(レモン、ライム)、石果実系(桃、杏子)、南国果実系(バナナ、ライチ)、赤果実系(ラズベリー、ストロベリー)、黒果実系(ブラックベリー、ブルーベリー)、乾燥果実系(プルーン、レーズン)
スパイス、ミネラル、ハーブ、スモーク、野菜、キノコ、ナッツ、土など
基本的にどのワインもフルーティーとセイヴォリー両方の要素を持っていて、どちらが主体かで決めます。フルーティーなワインは甘い香りの傾向が強く、セイヴォリーなワインは苦みや渋み、スパイスの香りが強い傾向にあります。
稀にどっちの主張も強いのでフルーティー&セイヴォリーなんて書いてるレビューもあるにはあります。例えば香りはとてもフルーティー、切れ味がセイヴォリーなワインなど
また良く使われる他の表現としては
- フローラルなワイン(だいたいフルーティーとも言えます)
- スパイシーなワイン(だいたいセイヴォリーとも言えます)
こうやって説明すると、「セイヴォリーって要するにドライってこと?」と勘違いするかもなので、以下「ドライ」についても解説します。
ワインにおける甘口(スイート)/辛口(ドライ)ってどういう意味?
「フルーティーの反対はドライじゃないの?」
と疑問に思うあなた、旅ガラスもちゃんと勉強するまでその認識だったので大丈夫です。
ワインにおける甘口(スイート)/辛口(ドライ)に香りは関係ありません。
残糖量が目安となります。(砂糖がどれだけ入っているか)
紅茶を思い浮かべてもらうとわかりやすいです。
【ピーチティー】
甘い香りでフルーティー、でも砂糖やガムシロップを入れなければ甘くありません。つまり、辛口でフルーティーな紅茶です。
でもリプトンの紙パックのピーチティーは甘い香りだけじゃなくて甘い。カロリーもしっかり入ってます。なので甘口のフルーティーな紅茶です。
【シナモンジンジャーティー】
スパイシーな香りでセイヴォリー、でもやはり砂糖やガムシロップを入れなければ甘くありません。つまり、辛口のセイヴォリーな紅茶です。
でもでも、スタバとかで頼むとがっつり砂糖の入った甘いのが出てきます。なので、甘口のセイヴォリーな紅茶です。
ということで、超ザックリ分けるとワインには4種類あって
- 甘口のフルーティーなワイン
- 辛口のフルーティーなワイン
- 甘口のセイヴォリーなワイン
- 辛口のセイヴォリーなワイン
甘口/辛口の基準値はどれくらいか?
以下明確な基準はありませんが、旅ガラスが昔聞いた目安としては以下の通りです。
- ボーンドライ:残糖量が0g/Lのワイン。
- ドライ:残糖量が1-20g/L程度のワイン、以下は明確な基準はありません
- オフドライ・セミドライ:残糖量が20-40g/L程度のワイン
- オフスウィート・セミスウィート:残糖量が40-100g/L程度のワイン
- スウィート:残糖量が100g/L程度のワイン、ちなみにスプライトの糖分量が106g/L程度です
上3つはざっくり辛口ワイン、下2つはざっくり甘口ワインになります。
紅茶の例を出したように、フルーティーで辛口なワインもありますし、セイヴォリーで甘口なワインも存在します。(前者は良く見かけますが、後者はかなりレアです)
まとめ セイヴォリーを日本語に訳すとどうなるの?
正確に表す言葉は残念ながらありません。もし無理やり訳すとしたら
フルーティー:果物っぽい、セイヴォリー:果物っぽくない
このままだと翻訳ミスな感じがしますので、以下雅でおしゃれなワイン表現に置き換えてみました。
セイヴォリー:香ばしい、潮風の香る、薬草っぽい、獣のような、ほろ苦い、森の香り
一概には言えませんが、ざっくり上記のように感じられたら「あ、このワインはフルーティー/セイヴォリーだな」と言えそうです。
ぜひ海外のワイナリーでテイスティングする際は利用してみてください。
元ワイナリースタッフがお届けするワイン雑学 No.002
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