こんにちは、旅ガラスです。
2022年徳島例会D「リッジ・ヴィンヤーズの軌跡-カリフォルニアワインにおけるサスティナブルについて-」に参加してきました。
カリフォルニアで老舗のRidge、堪能してきました♪
そもそもソムリエ協会の例会ってどんなことやるの?
- 1時間授業、1時間テイスティングの構成です(2時間テイスティングの時もあります)
- 内容は47都道府県で共通テーマが3つ、各都道府県の独自テーマが1つ
- 他県の例会に出るのもOK
- 一般参加は6000円です。協会員は年会費15000円で例会に無料参加可
3回以上参加するなら元は取れる計算ですね。
お酒のクオリティも高く、お酒の質を楽しめる方なら6000円はもはや実費です。そこにプロの解説が追加、勉強にもなるのでお酒好きには最高です。
個人的には各講師の持つこぼれ話が貴重です。実体験やどういう感覚でテイスティングしてるのか、どんな背景があったのかなど聞けるので、趣味がお酒の勉強な人には嬉しい限りです。
独自テーマってどんな内容なの?
2022年度の四国のテーマを上げると・・・
- 香川県:オリーブオイルの正しい知識―香川県産オリーブオイルを中心に
- 愛媛県:愛媛県酒造組合の組合酵母について
- 徳島県:カリフォルニアワインにおけるサスティナブルについて
- 高知県:土佐酒の未来
ちなみに今回はタイトル微修正されて、「リッジ・ヴィンヤーズの軌跡」が入るようになりました。サスティナブルは話していましたが、そこまで目新しさはないので今回は割愛w
セミナー前半/リッジ・ヴィンヤーズって?
今回の講師はコチラ!
- 黒川 信治 氏 大塚食品ワイン部 部長 リッジヴィンヤーズ取締役
- 田崎 真也 氏 一般社団法人日本ソムリエ協会 会長
リッジヴィンヤーズと言えば・・・
1976年のパリスの審判にもノミネートされたカリフォルニアを代表するワイナリーです。
パリスの審判っていうのは、フランスとアメリカワインのブラインドテイスティング対決でアメリカが歴史的な勝利を成し遂げた出来事です。
気になる方は映画化されているので『ボトル・ドリーム カリフォルニアワインの奇跡』を見ると分かりやすいと思います。ワイン全然知らない友達がお気に入り映画と言っていました。
パリスの審判に選ばれた銘柄はフランスアメリカで各5銘柄の10種類。その代表の一角にRidge Vineyardsが入っております。
さて、では今回のポイントは以下の通り
- どうして徳島県でカリフォルニアワインを取り上げるの?
- Ridge Vineyardsってどうすごいの?
どうして徳島県でカリフォルニアワインを取り上げるの?
実はですね、1986年に大塚製薬がRidge vineyardsを買収してます。
大塚製薬のお膝元は徳島県らしいので、その辺りが関係しているようです。
徳島県の友達も知ってましたね。ちなみに大塚製薬関係者は社内イベント等で飲める機会があるって噂です。羨ましい~!!
「金は出すけどワイン造りには一切口を出さない」
っていうのが大塚製薬のスタンスだったらしく、その辺りが買収の決め手だったみたいですね。買収されてお酒の造り方が変わったり値段が大幅変更になることもあるので、Ridgeの妥協しない哲学には好相性だったみたいです。
ちなみに、先ほどの1986年のパリスの審判の再戦(2回目)で10本中3位で好成績。
Ridgeが買収されたのも1986年、当時の経営陣も「これは売り時!」と思ったのかもしれませんね(笑)海外だと退職金代わりに会社を売却するのはよくあるそうです。
↑田崎会長がこの辺り聞いてましたが、真実はわかりませんw
Ridge Vineyardsってどうすごいの?
幾つか話していましたが、特に話していたのは醸造家についてでした。
醸造家:ポール・ドレーパー氏
2015年にデカンター誌で発表された「醸造家が選ぶ最も尊敬する醸造家」のトップ5に選出された方。1969年からRidgeに関わり、2016年には引退した方。
なのですが、醸造所の近所に住んでるらしく、引退理由の病気の方も持ち直したようでときどき顔を出しているようです。なので今も間接的に関わっている、のかもしれませんねw
同業者に尊敬されるなんて素敵なことですし、他のトップ5にノミネートされた方ヨーロッパで活躍されている著名な方が多い中、ここに入れるのは非常に素晴らしいと思います。ちなみに後釜のジョン・アルニー氏も優秀な方のようです。
栽培家のデイヴィッド・ゲイツ氏も30年以上Ridgeに関わるベテラン、醸造家と栽培家がしっかりしてないと良いワインは作れないので、この辺りにRidgeワインの美味しさが隠されていそうです。
ちなみに
3回目のパリスの審判(2006年)ではRidgeがなんと一位!
長期熟成タイプということが証明された結果だとのこと。2006年は審査員が変わっていたり輸送事情の向上など色々あると思いますが、ブラインドテイスティングという一定の公平性が保たれたなかで高評価を受けるのは真の実力だなぁと思います。
後半/テイスティング
Ridgeワインを4種類飲ませて頂きました。どれも秀逸で美味しかったです。
普段絶対試飲せず吐き出す人も、その日はこっそり立ち去り際に飲んでました。誰とはいいませんw
そりゃ飲みたい、別に運転するわけでもないので全然問題ないんです。ただコンプライアンス的にはもしかしたらアウトかもしれない。でも仕事終わったんで僕は良いと思いますw
さて、テイスティングの感想を踏まえてRidge vineyardsのこだわりを深堀していきます。
アメリカンオークへのこだわり
世界中でフレンチオークのトレンドななか、Ridge Vineyardsでは極力アメリカンオークで仕上げる方針のワイン造りをしているそうです。
流石に100%ではないそうですが、樽全体の9割以上はアメリカンオークを使用。
例えば白のシャルドネでも5割強はアメリカンオークで熟成、ステンレスが3割程度で残りがフレンチオークとのことでした(今後変わるかもしれまんが)
樽だけの割合で見たらやっぱりアメリカンオークが9割ですね。
ちなみに旅ガラスの感覚では、白ワインでアメリカンオーク使われることは少ないです。
理由としては難しいからです。一般的にアメリカンオークの方が香りがつきやすく、ワインのバランスが壊れやすいです。葡萄の果汁の質や醸造家の腕に自信がないと、樽の香りばっかりで葡萄の香りが消えちゃうイメージです。
少し話は逸れますが
ときどき樽香が主張しすぎてるワインを見かけるので、そういうのは失敗したのかそういうパンチのある味にしたいのか迷うところです。ひと昔前のカリフォルニアのシャルドネはバター系の濃厚な香りが特徴、インパクトはあるんですが嫌煙する人も居るワインです。
今回飲ませてもらった2019年のシャルドネは、アメリカンオーク由来のココナッツ系の香りが控えめで、酸が程よい、バランスのとり方が上手です。しっかり飲み干していましたw
テイスティング重視
ワインの味に一つのゴールがあるらしく、伝統的に決まった醸造方法で作るというよりは、「これぞRidge」と呼べるワインを目指してワイン造りを行うそうです。
なので、瓶詰前のワインを樽毎にテイスティングを実施。選別を行って通り抜けた物だけで熟成を行っていくそうです。他はブレンドをされながら、フランスでいう「セカンドワイン」としてお手頃価格で販売。
割と当たり前のことを言っている気がしますが、すでにブランドを確立しているのでここまで分けなくてもいいという意見もあります。
全てRidgeとしての一級品として販売しても売れると思いますし。
ちなみに話かわりますが、旅ガラスの勤めていたワイナリーでもこういう事やっていて参加したことがあります。どれくらいの割合でブレンドすればいいのか、瓶熟成したあとの味のイメージなども含めて話し合ってました。これ、バランスなんか考えると非常に難しいです。
Ridgeも同じような事やっているかと思いますが、「美味しく」はもちろん「これぞRidge」といえる味に仕上げる必要があるのでまたハードルが高そうに感じました。
畑違いのジンファンデルブレンドを飲ませてもらいましたが、素晴らしい仕上がりでした。Ridge Vineyardsのワインは今回初めてでしたが、口当たりの柔らかさとバランスを特に意識している印象でしたね。バランスを取り過ぎると平凡に仕上がりやすい印象ですが、そこと一線を画すのはアメリカンオークの使い方なんじゃないかなぁと思います。
まとめ
徳島というと「すだち酒」と「阿波踊り」のイメージが強いのですが、「大塚製薬」の影響も強いみたいです。
思い直してみれば、「大塚国際美術館」があるのも徳島、カリフォルニアワインの大御所であるRidge Vineyardsが徳島の例会に出てくるのも規定路線なのかもしれませんね。
大塚製薬関係で仕事してる人だとRidge Vineyardsを知ってる人も多いみたいです。徳島県でファンが多いのも分かる話です
個人的にはRidge Vineyardsのノウハウを利用して徳島県内でワイン造りなんかもトライして欲しいなぁと思う次第ですが、今回そういう話はなかったです。面白そうなのになぁ。
今回は一本1万前後のワインで自分だったらまず手を出さないワインなので、飲む機会があってよかったです。世界のトップレベルを今後もトライしてみたいなぁと思った次第ですw
大人の宅飲みワイン&おつまみレシピ研究所|ソムリエ協会例会ログ No.017
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